【声明】 新しいエネルギー政策は民主的な政策形成プロセスを経て決定を

2013年3月11日

内閣総理大臣 安倍晋三様                        
経済産業大臣 茂木敏充様
環境大臣   石原伸晃様

         エネルギー・環境政策における
政府審議会のバランスを欠いた人選と非民主的なプロセスに問題提起します
~新しいエネルギー政策は民主的な政策形成プロセスを経て決定を~

          eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)

>PDFはこちら 130311_eshiftseimei_energypolicy
 2011年3月11日に発生した未曾有の福島第一原子力発電所事故の原因は、それまで
の日本のエネルギー政策が、原発利権に偏った利害関係者のみによって、きわめて不
透明なプロセスで作られてきたことにあります。この事故により、政府・原子力関係
事業者・学識経験者に対する人々の信頼は大きく崩れ、それを検証できなかったマス
コミの責任も問われています。多くの人が全ての人の暮らしやいのちに関わる重要な
問題であるエネルギー・環境政策に対して、無関心であってはならないことを学んだ
のです。
 過去の悲惨な原発事故の教訓と経験から、市民にとって安心・安全で、持続可能な
社会を構築するためには、旧来のトップダウン型政策プロセスをかえていくことが不
可欠です。しかし、現在政府がすすめている以下のような対応は、従来のやり方に後
戻りするばかりか、福島原発の事故の教訓を踏みにじるものであり、国民にとって到
底納得できるものではありません。

1.「原発ゼロ」を求めた国民的議論の結果を無視
 エネルギー・環境政策の方針として、昨夏の国民的議論で「原発ゼロ」を求める国
民の声が圧倒的多数を占めたことを無視し、原発の再稼働に向けてその結論を出すこ
とを急ぎ、「革新的エネルギー・環境戦略」もゼロベースで見直す方針を示しまし
た。昨年の『国民的議論』で脱原発を選択した人が多かったという事実は重く受け止
めて議論の前提とするべきです。

2.原発推進に偏った審議会メンバー
①総合資源エネルギー調査会総合部会
 経済産業省はエネルギー基本計画の改定に向けて設置された基本問題委員会を廃止
し、かつて原発推進政策を決定づけてきた「総合部会」を復活させ、その委員を発表
しました。しかしメンバーからは、「基本問題委員会」で「原発ゼロ」の立場であっ
た8人のうち6人が外されました。メンバー構成は原発推進に大きく偏っており公正な
議論が行なわれるとは到底思えません。しかも、委員長は新日鉄住金相談役の三村明
夫氏で、基本問題委員会の委員長として不適任であった人物です。このように、脱原
発・再生可能エネルギー推進を強く訴えるような人を多く外し、偏った原発利害関係
者ばかりで審議会を構成することは、幅広い意見を聞くことを最初から放棄したもの
であり、公正な議論が保証されているとは思えません。

②中央環境審議会
 環境省はエネルギー政策と表裏一体で議論している中央環境審議会のメンバーか
ら、昨年末に就任が内定していた枝廣淳子氏や植田和弘氏、浅岡美恵氏などエネル
ギー・環境政策に精通するメンバーを今年になって取り消しました。それ以前に外さ
れている環境NGOのメンバーもあります。本来は、気候変動政策の観点からエネル
ギー政策を検討する上で国際的な情勢をふまえて政策提言するNGOや有識者のメン
バーこそ増強すべきであると思います。今回の新メンバー構成は、時代に逆行しエネ
ルギー・環境分野から幅広い意見を聞くことを最初から放棄した人選であると思いま
す。

3.政策決定に際し、市民参加プロセスをきちんと位置づけるべき
 エネルギー基本計画の改定に際し、上記のような偏ったメンバーでの審議会で形式
的な人選と議論で決定されることは、旧来型の手法に戻り、民主党政権よりも大きく
後退したと言わざるをえません。国民が納得できる、情報公開と透明性が確保された
市民参加型のプロセスがとられるべきです。次に私たちの提案を示しますので、ぜひ
政策に反映していただきたいと思います。

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