【要請書】原子力規制組織の設置に関する国会審議と与野党修正案に対する提案と要請

原子力規制組織の設置に関する国会審議と与野党修正案に対する提案と要請
PDFはこちら 120608_規制組織問題要請

2012年6月8日

eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)

政府が提案した原子力規制庁および原子力安全調査委員会の設置に関する関連法案の審議が5月29日から開始され、自民、公明両党による規制庁の上に原子力規制委員会を3条委員会として設置するという対案も提出され、現在法案審議が行なわれています。

私たちは、深刻な福島原発事故を引き起こす原因となった耐震評価や安全基準を策定し、事故の責任者であるはずの原子力安全・保安院や原子力安全委員会が依然として存在し、ストレステストの評価や稼働年数の引き延ばしなどを行なっていることを大変危惧しています。政府は「規制の空白」を恐れているのかも知れませんが、両組織をそのまま継続させていることは、「罰せられるべきものに、新たな犯罪の道具を渡すがごとき」行為で、「規制の暗黒」状態であると思います。新しい原子力規制組織ができてはいないとは言え、これら旧組織の安全審査や許認可機能は直ちに停止されるべきだと思います。

私たちは、原子力規制組織に関する重要法案の審議はしっかり時間をかけて審議されるべきであると思っています。そのためにも、まず両組織の安全審査や許認可機能の停止し、最低限の計測、監視機能に限定すること必要です。

そのような条件が満たされることを求めた上で、現在審議中の原子力規制組織に関する法案修正には下記の要件が不可欠であると思います。

1、 国会事故調の報告後の見直しを条文に明記すること

国会事故調査委員会は現在、原子力規制組織のあり方まで含めた事故調査報告書を作成中です。本来はこの報告書を待ち、提案を受けて、新たな原子力規制組織の法制化が行われるべきであると思います。しかしながら、上記前文に書いた通り、我が国は「規制の暗黒」状態となっていますので、あえて暫定的に新しい規制組織の立ち上げを行なう場合は、国会事故調の報告書が出された段階で、あらためてその指摘を受けた規制組織についての見直しを行なうことが必要であると思います。

つまり、今回設立される原子力規制組織はあくまで「暫定的組織」であり、正式な議論と設立は国会事故調の報告書提出後に、あらためて行なわれるということを、今回の修正案にはっきりと明記していただきたい。

2、 規制委員会委員や規制庁の職員について厳密に経歴制限を設けること

新組織は野党側が提案する3条委員会としての原子力規制委員会のもとに、規制業務の実務を行なう規制庁が置かれるという形になると推測されます。その実務部隊には原子力安全・保安院の職員があてられる可能性が高いとしても、その全員について「ノーリターン」ルールが適用されることで与野党合意と伝えられています。これはかなりの前進と評価できますが、規制組織の「原子力ムラ」からの独立を担保するには、もっと厳密な経歴制限が必要であると思います。

細野大臣も「原子力事業者の従業員など、原子力安全行政に利害関係を持つ方は委員には適さないと考えておりまして、そこは明確に法律の中で欠格条項として位置づける」と答弁しており、その欠格条項として私たちが提案する経歴制限を列記します。

以下の者は、原子力規制委員会委員、規制庁職員、原子力安全調査委員会委員、規制庁の審査専門員のいずれにも就任することはできない。

1)電力会社の取締役、職員であったもの。

2)原子力関連企業(東芝、日立、三菱など)において、最近の10年以内において原子力関連部署での職にあったもの。(ただし、JNESの職員がノーリターンルールで就任する場合に限り、初期の特例措置として認めるものとする。)

3)原子力安全委員会委員、原子力委員会委員、原子力安全保安院の院長、次長、審議官、首席統括安全審査官及び各課長の18人。

4)電力会社、原子力関係企業から研究費等をもらったことがあり、規制組織に参加することが利益相反となる学者、専門家、評論家。

5)経産省出身の学者、専門家。

3、 原子力規制委員会監視委員会の設置

3条委員会としての原子力規制委員会は、その独立性について政府案よりすぐれていると思いますが、当面はこれを運用面から監視し、「原子力ムラ」からの完全な独立を維持できているかチェックする仕組みをつくることが必要であると思います。この組織を原子力規制委員会監視委員会とし、そこには、原子力政策に批判的な科学者、技術者を含め、しかるべき専門家が配置され、原子力規制委員会に出された資料をすべて読むことができ、その検討内容をチェックし、独立性が維持されているかを検証し、必要がある場合には、原子力規制組織にを是正を勧告することができるような仕組みとすることが不可欠です。

4、 バックフィットの考え方を修正法案に反映させること

政府案では、考え方は反映させることになっていますが、法律条文の中に十分書かれているとは言えません。自公案では、具体的な基準については原子力規制委員会の合議により定めるという考えとされており、まだバックフィットの考え方を取り入れるか否かも定かではありません。したがって、修正案においては、まず現在の最新の知見に基づく新基準や新指針を策定し、全ての原発についてその新基準・新指針に適合することを求めるというバックフィットの考え方を明記し、それが満たされない原子炉については運転を認められないことを修正条文に必ず入れることが必要です。

5、年限を区切った廃炉規定を修正案に明記すべきである

政府案では運転後40年経過した原子炉の廃炉規定があります。運転開始から年限を区切った廃炉規定は大変重要であり、修正案にも組み込むべきである。

ただし、40年廃炉ルールについては、なぜ40年かの説明は十分ではない。本来原子炉の設計寿命は30年であったはずで、圧力容器金属の試験片も30年分しか設置されていない。30年を越えた圧力容器の金属の健全性(脆性遷移温度)が確認できない以上、30年で廃炉にすべきである。

また20年の運転延長規定については、40年廃炉ルール以上に根拠が不明であり、延長は認めるべきではない。

6、 住民参加プロセスを法律条文にくわえること

原子力発電所の事故、原子力災害においてもっとも深刻な被害を受けるのは周辺に暮らす関係住民です。政府法案も、自公両党案でも関係住民の参加プロセスは全く欠落しています。原子力災害は広範囲に及び、大規模な避難や居住そのものの移動を伴うものとなります。したがって、その関係者と規制機関とは常に連携し、意思の疎通や情報の共有を行なうことが不可欠であると思います。
その重大性に鑑み、以下のプロセスを条文の中に書き込むことを求めます。

1)原子力発電に関する重要な決定時、重大なトラブル発生時における、関係住民、関係自治体への説明会、公聴会、公開討論会の制度化。

2)上記の緊急時だけではなく、関係自治体、関係住民による「常設協議会」を設置すること。

3)ここでいう関係住民は、少なくとも政府が設定しているPPA(放射性プルーム防護計画地域=30キロ圏)より広い範囲の住民とすること。

7、 公益通報制度を組み込むこと

原子力発電所におけるオンサイトの危機管理、また安全性確保のための品質を確かなものとするためには、データの改ざんや事故隠しのような不正行為を内部から表に出し、技術的な方法論についても常に「改善」意見を出せるTQC(総合品質管理)の考え方が不可欠です。しかしこれまでは、原子力に関する過去の内部告発者はほとんど解雇もしくは配置転換による追放となっており、その指摘は無視されて来ました。

今後は、これをきちんと保護し、通報情報が生かされる仕組みをつくるべきですが、この観点も政府案、野党案ともに欠落しています。修正案では、条文に「公益通報制度」を追加し、内部通報者は、上記の「原子力規制委員会監視委員会」に通報情報をもたらすように制度を定めるべきであると思います。

8、 原子力規制組織職員の不正行為に対する法的処罰規定

政府案では「事業者責任の強化」がうたわれているが、今回の原子力災害を発生させる土壌をつくった原子力規制組織の役職者を含む職員の責任がおろそかにされることはあってはならないと思います。

たとえば、地震をめぐる知見が進み、旧耐震設計指針が不合理となったことが明らかなために新耐震設計指針をつくったにもかかわらず、古い(旧指針でつくった)原発にこれを適用しなくても良いという文書を出すように迫った原子力安全・保安院の担当者は、今般の福島原発事故を未然に防ぐチャンスを失わせた重大な責任があります。

同様に、本来は存在していないはずの原子力安全・保安院が、たまたまできてしまった規制組織の空白期間を良いことに、すでに破綻している旧基準にもとづいて原子力発電所の運転期間延長を承認するというような行為も、運良く何ごともなければ良いが、美浜原発2号機での重大事故が発生した場合には責任を問われるべき行為となります。

しかし、現在その罰則はなく、責任が曖昧であることが、安全確保について無責任な立場を取らせているともいえます。よって、修正案には、以下のような処罰規定を加えるべきであると思います。

1)原子力規制組織の職にあるものは、常に人々の安全確保を旨とし、原子力災害を引き起こすことのないよう、原子力事業者を監視し、厳しく対処しなければならないことが原則であることを修正案に明記する。

2)原子力規制組織の職員が、データの改ざん、事故隠しなど、本来すぐに明らかにしなければならない事実を事業者と一緒になって行なった場合、また誤った判断によって上記のの原則を踏み外した場合には、これを直ちに解雇し、原子力規制組織の職員として受けた給与について全額返済する義務を負うものとする。

以上です。

eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)

本件の問い合わせ先:
eシフト事務局
国際環境NGO FoE Japan内
〒171-0014 東京都豊島区池袋3-30-22-203
Tel: 03-6907-7217 Fax: 03-6907-7219

eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)には、以下の団体と約200名の個人が参加しています

 

国際環境NGO FoE Japan/環境エネルギー政策研究所(ISEP)/原子力資料情報室(CNIC)/福島老朽原発を考える会(フクロウの会)/大地を守る会/NPO法人日本針路研究所/日本環境法律家連盟(JELF)/「環境・持続社会」研究センター(JACSES)/インドネシア民主化支援ネットワーク/環境市民/特定非営利活動法人APLA/原発廃炉で未来をひらこう会/気候ネットワーク/高木仁三郎市民科学基金/原水爆禁止日本国民会議(原水禁)/水源開発問題全国連絡会(水源連)/グリーン・アクション/みどりの未来/自然エネルギー推進市民フォーラム/市民科学研究室/国際環境NGOグリーンピース・ジャパン/ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン/フリーター全般労働組合/ピープルズプラン研究所/ふぇみん婦人民主クラブ/No Nukes More Hearts/A SEED JAPAN/ナマケモノ倶楽部/ピースボート/WWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン)/GAIAみみをすます書店/東京・生活者ネットワーク/エコロ・ジャパン・インターナショナル/メコン・ウォッチ/R水素ネットワーク/東京平和映画祭/環境文明21/地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)/ワーカーズコープ エコテック/日本ソーラーエネルギー教育協会/THE ATOMIC CAFÉ/持続可能な地域交通を考える会 (SLTc)/環境まちづくりNPOエコメッセ/福島原発事故緊急会議/川崎フューチャー・ネットワーク/地球の子ども新聞/東アジア環境情報発伝所/Shut泊/足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ/足元から地球温暖化を考える市民ネットたてばやし

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