【要請】再生可能エネルギー促進法、賦課金上限枠撤回を!

2011年7月25日

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法
賦課金の上限枠の設定は制度の根幹を崩す
再生可能エネルギー普及に向けた制度の実現を!

気候ネットワーク 代表 浅岡美恵    
環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也
eシフト(脱原発・新しいエネルギーを実現させる会)

今月14日に国会審議入りした「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生可能エネルギー推進法案)」は、再生可能エネルギーを地域主導で大幅な導入を進め、東北地方復興にも寄与し、持続可能な新しい社会の実現に向けた第一歩を踏み出すための可能性を持った法案であると考えています。

しかし、15日の衆議院本会議において、海江田経済産業大臣は「消費電力に対する賦課金の上限を賦課金がキロワットアワー当たり0.5円を超えないよう制度を運用」すると答弁しており、電力多消費産業に配慮する方針を打ち出しました。また、25日の朝日新聞朝刊で、安住国対委員長が「価格面で高い負担をさせない仕組みにすれば方向性が見えてくるのでは」と、法案修正に前向きな考えを示したと報じられ、私たちは大変な危機感を抱いております。ここで示されたような、賦課金に0.5円/kWhの上限を課すことは、再生可能エネルギーの導入を実質的に低く抑えることにほかならず、今後の普及に著しいブレーキをかけることになるからです。

むしろ、現在の電力料金制度の元でも、化石燃料の調達コストが上昇すれば燃料費調整制度によって、現在より7円/kWh程度まで上昇することも想定されます。再生可能エネルギーの普及が拡大すれば、この化石燃料のコスト上昇の影響を毎年減らしていくことになります。また、大半の製造業では、生産コスト当たりの電力コストは2%以下であり、電気料金上昇による生産コストへの影響は、為替変動に比べれば、決して大きくありません。

将来的にはプラスのメリットの方が大きくなるにもかかわらず、電気料金に対する決して大きいとは言えない影響をハイライトして過度に配慮すれば、再生可能エネルギーの導入が進まず、これからの経済再生・再生可能エネルギーによる設備投資・産業育成・雇用創出効果も失うことになるでしょう。

再生可能エネルギーの大幅な導入をするためには、賦課金の上限を課すような修正をするべきではありません。制度の根幹を見失わず、再生可能エネルギーの普及拡大を目的としたよりよい法案として成立させるよう、要請します。

※法案をめぐる10の問題点 http://e-shift.org/?p=946

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