電力小売に係る消費者への説明・表示義務を求める要望書提出

2015年1月29日

経済産業大臣 宮沢 洋一 様
資源エネルギー庁長官 上田 隆之 様

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エネルギーシステム改革市民委員会
コンシューマネット・ジャパン
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
市民電力連絡会
eシフト

電力小売に係る消費者への説明・表示義務を求める要望書


冠省 私たちは、市民の立場から、電力システム改革について、国や関係団体等の制度設計の情報を収集し、他団体とともに、消費者にとってのぞましい制度改革のあるべき方向についての検討をして参りました。

2016年度に予定されている電力の小売全面自由化の実現により、すべての消費者が電力を選択できるようになります。自由化後、消費者が電力会社やその電力メニューを選択するには、消費者が十分な情報を得ることが必要です。

総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革小委員会 制度設計ワーキンググループ(以下、WGという)におかれましては、小売電気事業者が消費者に対して、一定の情報を開示し説明することを義務付けることが議論されています[1]。小売電気事業者の名称・連絡先・料金等の事項は説明が必須であることはもちろんですが、私たちはWG案では不十分であると考えています。

私たちは、小売電気事業者の情報開示・説明・表示義務について、以下のように要望します。

―  記  ―

電力に限らず、消費者は料金だけを見て商品を買うわけではありません。消費者が積極的に選択し、納得して電力を消費するためには、小売電気事業者が販売する電力、つまり消費者自身が購入する電力がどのような電力であるかということを知る必要があります。また、自分の支払った電気料金がどのような発電のために費やされているのか等、その内訳を知ることは消費者の権利です。

よって、以下の事項をすべての小売電気事業者に表示することを義務付けることを求めます。なおこれらの情報は別紙に示すようにグラフを用いて分かりやすく表示することを義務付けることを求めます。
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① 電力の種類の表示
・ 小売する電力の発電方法・発電種類(電源構成)
・ 小売する電力の発電において排出した二酸化炭素(CO2)の量、放射性廃棄物の量

② 電気料金の費用内訳の表示
・ 託送料金
・ 使用済燃料再処理等引当金等の原発関連費用
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この要望書では電力の「内容・内訳」表示の義務化を求めていますが、表示の「方法・手段」、「頻度」などのあるべき姿についても、今後公開の場において消費者の意見を取り入れながら、丁寧に議論が行われることを要望いたします。
以上

[1] 例:第8回制度設計WG資料5-1の25ページなど。

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別紙:小売電気事業者の表示義務の例 イメージ

1. 小売電気事業者「電源構成」表示義務のイメージ

A.電源構成(数値は仮のもの)
①  再生可能エネルギー・・・10%
②  固定価格買取制度(FIT)による再生可能エネルギー・・・10%
原子力・・・15%
④  化石燃料・・・65%

B.環境負荷

①  1 kWh当たりのCO2排出量(g-CO2/kWh)
②  放射性廃棄物発生量(g/kWh、Bq/kWhなど)

2. 小売電気事業者の「費用内訳」表示義務のイメージ

(数値は仮のもの)
①  託送料金
②  電源開発促進税、使用済燃料再処理等引当金、等の原子力関連費用
③  FIT賦課金
④  発電・小売費用、利益等その他

グラフ表示の例

*環境価値に基づく表示問題については別途要望書を提出させていただく予定です。

(連絡先)コンシューマネット・ジャパン
担当 真下、古賀
Fax:03-5539-4451
メール:info@consumernet.jp
Webサイト:http://ConsumerNet.Jp