【声明】 エネルギー政策見直し:「国民的議論」無視はゆるされない

【eシフト声明】
エネルギー政策見直し:「国民的議論」無視はゆるされない
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2013年10月25日(金)
eシフト:脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会

現在議論されているエネルギー基本計画の改訂は本来、福島第一原子力発電所
事故を受け、二度と悲劇を繰り返さないことを前提に、始められたはずでし
た。2012年の夏、「総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会」等での議論
を経てつくられた「エネルギー・環境の選択肢」に基づき、大々的な「国民的
議論(*1)」が展開されました。

しかしながら、2012年12月に発足した安倍政権は、この議論を完全に無視し、
「原発ゼロ方針はゼロベースで見直す」と発表しました。現在、基本政策分科
会では、「原発は安価」「安全保障上必要」「ベース電源として必要」「世界
は原発推進の方向へ」などと、まるで福島第一原発事故がなかったかのよう
に、原発推進の方向性が打ち出されようとしています。これは、福島第一原発
事故の教訓の無視、国民の声の無視ともいうべき暴論です。

国民生活全般に深く関わる重要課題である、今後のエネルギー政策の決定プロ

セスとして、この議論には以下に述べるように重大な問題があります。日本は
レベル7の原発過酷事故を起こした当事者として、早急にエネルギー政策の方
向転換を行わなければなりません。

1.2012年夏の「国民的議論」の結果と原発ゼロ方針の決定は無視されてはな
らない

「国民的議論」において、9万件近く寄せられたパブリックコメントのうち87
%が原発ゼロシナリオを支持したこと、その他様々なプロセスとあわせて「過
半の国民が原発に依存しない社会を望む」とまとめられたこと、およびこの結
果を受けて「革新的エネルギー・環境戦略」(*2)に原発ゼロ方針が示された
ことについては、現行プロセスにおいて、議論の前提とすべきです。現在の総
合部会・基本政策分科会(*3)における議論では、まったく言及されないどこ
ろか、資料提示すらありません。国の正式な手続きとして進められた議論、そ
して方向性を閣議決定された「革新的エネルギー・環境戦略」を全く無視する
ことは、手続きとして極めて不当です。

2.歪められたプロセス:被災当事者の意見聴取を含め、市民参加を確保すべき

2011年に設置された「基本問題委員会」は廃止され、かつて原発推進政策を決
定づけてきた「総合部会」が復活、現在の「基本政策分科会」も同じ体制を引
き継いでいます。メンバーからは、「基本問題委員会」で「原発ゼロ」の立場
であった8人のうち6人が外され2名のみとなり(委員総数15名)、メンバー構
成は原発維持・推進に大きく偏っています。
 被災当事者の声を聴く機会はまったく設定されておらず、市民参加の機会は
今のところ、ウェブサイト上での意見募集に限られています。福島原発事故被
害当事者のヒアリングや意見聴取をはじめ、複数箇所・複数回の公聴会開催な
ど、多面的な方法で市民参加の場を提供し、それを政策に反映させるプロセス
の確保が不可欠です。

*1 エネルギー・環境会議 関連資料 2012年
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/npu/policy09/archive01.html
*2 「革新的エネルギー・環境戦略」2012年9月14日
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/npu/policy09/pdf/20120914/20120914_1.pdf
*3 経済産業省資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonseisaku/index.htm

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