STOP! 原発・石炭火力を温存する新たな電力市場ーリーフレット公開、ご意見募集!

再エネ100%社会のために-
STOP!原発・石炭火力を温存する新たな電力市場
再エネ新電力、再エネの危機!!

*PDFダウンロードはこちら 電力市場リーフレット(6月18日版、近日更新予定)
*6月26日まで、みなさんのご意見・ご感想をお受けしています。ぜひお寄せください。 info@e-shift.org

気候危機のいま、再エネと省エネによるエネルギー転換が急務です。
ところが、私たちが払う電力料金によって原発と石炭火力を温存するための制度が新しく作られようとしています。
このままでは、大手電力の寡占化がますます進み、再エネの導入は遅れ、電力自由化は逆戻りします。

【1】大手電力の独占がエネルギーシフトをさまたげる

すでに多くの国で、再エネは最も安い電源になっています。日本でも近い将来、燃料費ゼロの再エネがもっとも安い電源となります。
しかしそうなると、原発、石炭火力、大型水力を持つ大手電力会社(東電、関電など旧一般電気事業者)は困ります。
そこで、彼らが政府に要請して導入されつつあるのが、既存の電源が結果的に有利になる制度です。
大手電力が持つ発電所は、自由化前の独占時代に国民全体の負担で建設されたものです。古いものほど減価償却が進んでいます。

新しく導入される制度は、そのような古い発電所に対して、私たちの電力料金の一部が流れるような仕組みであり、原発、石炭火力を持つ大手電力への不公平な「補助金」と言えるものです。再エネを重視する新電力は圧倒的に不利になり、再エネの価格は高止まりし、電力自由化は大幅に遅れます。

【2】原発や石炭火力にお金を流す新市場

本来は大手電力の独占状態を解いていくための電力システム改革。
しかし、大手電力を守るための新しい仕組みが作られています。

1)容量市場
「将来の供給力確保」は名目、実は石炭火力・原発の温存

<しくみ>
電力市場では、電力量(kWh)が売り買いされています。しかし、2020年度から始まる容量市場では、将来的に電源が不足するという仮定のもと、「将来(4年後)の発電能力(kW)」が取引されます。
日本全体で必要とされる発電容量を電力広域的運営推進機関(OCCTO)が決めて、発電事業者に入札を求めます。OCCTOは、落札価格が決まるとそれより安く入札していた電源を全て買い取ります。
4年後に、落札したすべての発電所に対して落札価格を支払います。そのお金は、すべての小売電気事業者からピーク需要(kW)に応じて集めます(容量拠出金)。
*国全体の必要容量(kW)について、OCCTOは2024年度分として、1.77億kW(予備率13%)と予測しています。ここからFIT再エネの0.11億kWを引いた約1.66億kWが容量市場で確保されるおおよその容量で、想定市場規模は1.56兆円程度と推測されます。

ここが問題

  • 現在、電源は余っています。将来的にも、適切な対策をとれば電源不足にはなりません。電源不足になるという想定は十分に検証されたものではありません。
  • 新しい発電所も古い発電所もkWあたり同じ落札金額がもらえるため、すでに建設費などが回収済みの発電所をたくさん持っている大手電力に極めて有利です。原発や石炭火力などの古い発電所をずっと持つ方がお金をもらえ、エネルギーシフトがますます遅れます。
  • 大手電力や大手新電力は、大規模電源の直接契約を多く持っています。多くの場合kW分の料金が含まれているため、その分を値引きすることとされ、実質負担は大幅に減ります。しかし、大規模電源を持たない再エネ新電力の負担は減らず、容量拠出金が経営を圧迫します。(格差がさらに拡大)
  • つまり、容量市場によって、再エネ新電力の消費者の電気料金の一部が、古い原発や石炭火力の維持費に流れてゆくことになります。

じゃあどうすれば?

  • 電源不足の解消が目的なら、持続可能な形で再エネを増やすことが必要です。その上で、電力融通や省エネなど適切な対策を取れば電源不足はおこらず、容量市場は不要です。
  • 電力業界の要求によって、EUのいくつかの国や米国の一部地域でも容量市場は導入されています。しかし、新たな投資や電力価格の安定への寄与はわずかです。一方、石炭火力の廃止政策との矛盾などが大きな問題となっています。英国の容量市場に対しては、国による補助金を禁止したEUのルールに反するという訴えがEU司法裁判所に提出され、容量市場は一時停止となりました。

参考情報:
・電力広域的運営推進機関(OCCTO)「容量市場」
https://www.occto.or.jp/market-board/market/
・かいせつ容量市場スペシャルサイト(OCCTO)
http://www.occto.or.jp/capacity-market/
・供給計画の取りまとめ(OCCTO)
https://www.occto.or.jp/kyoukei/torimatome/index.html

2)非化石価値取引市場
原発も「非化石」としてお金が流れる

<しくみ>
大規模(年間販売5億kWh以上)な小売電力会社は、2030年度までに非化石電源(再エネ+原発)を44%以上調達することが義務付けられています(エネルギー供給構造高度化法)。
電気の非化石価値を「証書」として取引。原発などには、電気代と別の追加収入になります。

ここが問題

  • 放射能汚染、放射性廃棄物、事故リスクのある原発も「非化石」として再エネと一緒に定義しています。
  • 原発や大型水力を持つのはほとんど大手電力で、ここでも格差拡大。しかも建設費などが回収済みの電源です。
  • 収入は非化石電源の維持管理や更新、新増設に使うとされており、原発もその対象とするのは大問題です。
  • 大手電力が小売部門の値引きの原資とする恐れがあり、その監視は困難です。

じゃあどうすれば?

  • 原発を含めた「非化石価値取引」という制度をやめ、再エネのみの制度とすべきです。発電源がわかるようにすることも必要です。

参考情報:
・非FIT非化石電源認定ポータルサイト(日本ユニシス)
https://www.unisys.co.jp/solution/lob/energy/non_fit/

・第16回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会(2019年3月27日)
資料7「非FIT非化石証書の取引に係る制度設計について」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/016.html

3)ベースロード市場
原発、石炭火力などを優遇・温存

<しくみ>
大手電力会社が保有・独占している原発、石炭火力、大型水力、地熱発電による電力を取引する市場。

ここが問題

  • 「ベースロード電源」とは、昼夜を問わず供給できる電源のことですが、いろいろな発電方法を組み合わせることができる今では時代遅れです。この市場をつくることで、エネルギー転換をさまたげます。
  • ベースロード市場への供出価格を決める際に、未稼働電源、つまり稼働していない原発などの固定費も参入できることは問題です。
  • 2019年度の取引では結局あまり価格が下がらず、新電力と大手電力の格差解消にはつながっていません。一方で、安すぎる価格で供出されることも、新電力が使わざるをえない状況になるため問題です。

じゃあどうすれば?

  • 大手電力が独占している電気を市場に流すことは必要ですが、今ある電力市場の活用で可能です。
  • 大手電力が長期契約で独占している、電源開発の電源を市場に出すべきです。

【3】再エネ100%社会実現のために

新市場は廃止し、エネルギー政策の転換を

原発や石炭火力を優遇する3つの新市場は必要ありません。廃止すべきです。
化石燃料・原子力から脱却し、再エネと省エネが進んだ社会を目指すという方針なしには、何も変わりません。根幹となっている「エネルギー基本計画」の次の見直しは2021年度に予定されています。委員構成など審議会のあり方や、現状ほとんどない市民参加についても、働きかけが必要です。

再エネを優先するしくみを

  • 2020年度の固定価格買取(FIT)制度改訂(2022年度から見込まれるFIP制度の導入)は、日本では時期尚早です。地域にねざし持続可能なかたちで、再エネ設備への支援継続が必要です。
  • 再エネの送配電網への接続が困難な状況を早急に改善し、優先的に接続すべきです。
  • 再エネの発電量が多く需要の少ない時期(GW中など)に再エネが出力制御されていますが、原発を先に止めるべきです。再エネ電気の優先利用が不可欠です。

消費者・市民の選択でパワーシフトを

大手電力に有利な電力制度により、特に再エネ新電力が危機的な状況です。消費者(個人・事業者)が再エネを望む声を、具体的な選択として示すことも重要です。
電気の切り替えの参考はこちら ⇒http://power-shift.org/

必要な政策は?

・参考資料
原子力市民委員会 特別レポ―ト6『原発を温存する新たな電力市場の問題点』
http://www.ccnejapan.com/?p=11240

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eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会) http://e-shift.org/

国際環境NGO FoE Japan、気候ネットワーク、原子力資料情報室、環境エネルギー政策研究所、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、市民電力連絡会、原水禁、ほか

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