原発推進のGX基本方針に対する4つのパブコメとポイント

2022年8月、岸田首相がGX実行会議で、原子力の再稼働や運転延長、次世代革新炉の建設について具体化するように指示、その後12月下旬までの4か月足らずで、国民の声を聴くこともなく決定されてしまいました。

年末年始をはさんだわずか30日間、関連する4つもの文書がパブコメにかけられています。
以下のポイントを参考に、ぜひご自分の言葉で投稿してください。
原子力については重複する内容も多いので、同じ内容を出すこともできます。

なお、パブコメの送り方は以下です。

1.以下にあるそれぞれのパブコメのリンクを開く

2.開いたリンクの「募集要領」のPDFをクリックして開く

3.「意見募集要領を確認しました」にチェックを入れる

4.1~3を実行すると画面の右下の「意見入力へ」のボタンが有効になるので、そこから入力画面に入って入力する。

5.入力画面には個人情報を入力する欄がありますが、任意ですので必ずしも入力の必要はありません。

ー---------------------------------------

4つのパブコメのポイント

 

全パブコメ共通

<決定プロセス>

・今後長期にわたるエネルギー政策であるにもかかわらず、その影響を最も受ける若い人の意見を聞いていない。

・決定に係る委員会のメンバーはほとんどが産業界に関係する人たちで、広範な意見を吸収しておらず公正な決定プロセスとは言えない。

・このような国民の生活や安全に大きく係る問題にもかかわらず、国民的議論がなされていない。

・新聞によると、規制委員会が指示をする前にエネルギー庁と原子力規制庁が法改正の具体的な検討を始めていたということで、議論の前に初めに結論ありきのプロセスだったと思われ、形式的議論だったのではと疑われる。

パブコメ1.原子力規制委員会「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要」 
締切:2023年1月21日0時0分(1月20日中)
高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)に対する科学的・技術的意見の募集の実施について|e-Govパブリック・コメント

<高経年化した原発の運転延長>

・元々40年稼働を前提として設計して作られた原発を、延長することには大きなリスクがある。

・原子炉の劣化を評価したり安全を保証できる方法が明記されておらず、延長は容認できない。

・今から原発に投資すれば電気料金をその分引き上げることになる。それより、その投資を価格が継続的に低下している再生可能エネルギーの拡大に使えば、安全で低価格で環境に優しい社会になる。。

・原発の再稼働や延長、新増設には地元の理解が得られないケースが多いと思われ、2030年までに排出46%減にはとても間に合わず、パリ協定で約束した脱炭素の国際的約束を守れない。

パブコメ2.資源エネルギー庁「今後の原子力政策の方向性と行動指針」 
締切:2023年1月22日23時59分
今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)に対する意見公募について|e-Govパブリック・コメント

<原発の方向性と行動指針>

・政府の文章には、国と原子力エネルギー業界が取り組んでいく強い決意を改めて示すことが必要とあるが、業界の利益を優先しているとしか思えない。

・福島の復興や廃炉、汚染水・処理水の対策もできていない状況、つまり次の事故に対応できない状況で延長や新増設を考えるべきではない。

・再生可能エネルギーという代替手段があるにもかかわらず、リスクが高くしかも価格も高い原発を復活させる理由はない、原発への投資は税金の無駄使いだ。これ以上税金を無駄に使わず、再生エネルギーの拡大に使うべきである。

・柏崎刈羽では冬季は豪雪で避難ができない状況だと聞いている。現実的避難計画がない再稼働は国民の命を軽視し危険であり、そもそも甚大事故の際に避難が可能かもっと深く考えるべきである。

・使用済核燃料の処分ができない状況で、再稼働、延長や新増設をすべきでない。将来世代に解決のツケを回すべきではない。

 

パブコメ3.内閣官房 ほか「GX実現に向けた基本方針」 締切:2023年1月22日23時59分
「GX実現に向けた基本方針」に対する意見募集|e-Govパブリック・コメント

・エネルギー安全保障の目指すべき姿は、海外の資源に頼らない再生可能エネルギーの自給率を高めることである。また自給率を上げることは輸入代金の支払いによる国富の流出を減少させる事にもつながる。

・石炭火力の延命などは、エネルギー資源の海外依存から脱却できず、エネルギー安全保障に逆行するばかりか価格変動のリスクに晒される事になり得策とはいえない。

・日本が資源に恵まれていないというのは化石燃料に関しての話であり、日本では自然エネルギーで自給できる可能性があり、それを追求すべきである。

・ウクライナ戦争で明らかになったように、原発は有事の際、核弾薬庫になるためリスクが高い。元々の方針の通り将来的に廃止する方向で検討すべき。

・安定供給に関しても、国全体で見れば無風曇天の時間帯は限られており、まず自然エネルギーの拡大や建物の断熱・省エネ、送電網の拡充に集中投資をして、化石燃料による発電は最小限にすべき。

・再生可能エネルギーの主力電源化と謳うのであれば、それに対し最大の投資をすべきであり、原発や石炭火力への投資を増やそうとするのは矛盾している。

・水素・アンモニアは製造段階や輸送を含むフットプリントを考えた場合、実質排出削減にならないケースが多く、石炭火力などの延命につながるだけであり、2030年46%削減の国際公約を守れない。

・水素・アンモニアを加えれば当然コストが高くなり、低下傾向にある自然エネルギーのコストと逆転することを考えれば選択肢になり得ない。

・エネルギーコストの面から産業の国際競争力を考慮するのであれば、コストアップのアンモニア・水素・原発は採用すべきでない。

・建設全体として多量の温室効果ガスの発生を伴い、開通後も多量に電力を消費するリニア新幹線の建設は今すぐやめるべきである。コンコルドの誤謬に陥ってはならない。その投資は再生可能エネルギーに変えるべきである。

・排出量取引は温室効果ガスを減少させる隠れ蓑になる可能性があり、炭素税でとりくむべきである。

・今回のGXでは政府が掲げる、温室効果ガスの2030年46%削減目標が達成できません。問題を先送りせず、再生可能エネルギーに集中投資してください。

 

パブコメ4.原子力委員会「原子力利用に関する基本的考え方」改定 締切:2023年1月23日18時0分
「原子力利用に関する基本的考え方」改定に向けた御意見の募集について|e-Govパブリック・コメント

・原発に関しては福島の事故以来、肯定的な要素が増えていないにも関わらず何故、再稼働、新増説の話がでるのか理解出来ない。

・原子力のプラス面があると書いてあるが、具体的に何があるのか?理解出来ない。

・ウクライナ戦争で明らかになったのは、エネルギー自給率が低いことと、原発が核弾薬庫になるということであり、原発の再稼働、新増設より再生可能エネルギーの拡大に主眼をおくべきです。

・政府の文書には、「組織内外を問わず、根拠に基づいて誰もが様々な意見を言い合える文化を作り出せるよう、組織的な努力を継続」とあるが、今までの議論では将来世代の意見や産業界以外の意見がほとんど聞かれていない。

・原子力についても「ゼロリスクは有り得ず」と書いてあります。リスクが顕在化した時のことを考えると、ゼロリスクでなければやるべきではありません。